国立公文書館 企画展「書物を愛する人々」(2)毛利高標

公文書館・図書館
12 /27 2016
「書物を愛する人々」2人目は、毛利高標です。

毛利高標 (1755-1801)
 豊後佐伯藩 (現在の大分県佐伯市にあった二万石の藩)の藩主です。宝暦3年(1755)、江戸の藩邸で生まれ、 宝暦10年(1760)、死去した父の跡 を継ぎ、わずか6歳で藩主となりました。幼少期より儒学者に学び、安永6年((1777) には、城内に「四教堂」 という藩士の子弟の教育機関を設置しました。
 学問に熱心な高標は、 書物の収集に努め、四書五経をはじめ史書・詩文・仏典・天文・数学・医学など、各分野にわたる約4万冊の漢籍を「佐伯文庫」 に収蔵しました。高標の死後、孫の高翰(たかなか )は、蔵書の中から善本約2万冊を選び、
文政10年(1827)に幕府へと献上しました。 そして、その蔵書は、幕府の蔵書庫である紅葉山文庫や昌平坂学問所などに収められ、現在は国立公文書館に受け継がれています。


楽律参解 経015-0005
 「楽律(音楽の法則)」に関する解説書で、清時代(1644-1911)の楊雲鶴(生没年未詳)の著作です。江戸時代に筆写されたものです。写本のもととなった原本が伝わらないため、貴重な資料と言えます。3巻、全1冊。
 毛利高標の死後、孫の高輪が幕府に献上した本書は、その希少性から幕府の所蔵子である椛山文庫へ収蔵されました。見開きの上部に捺された「秘国/図書/之章」とは、紅葉山文庫の収蔵書に捺された蔵書印です。

で、一番下の印が毛利高標の蔵書印。
p60-1.jpg

佐伯献書目録 219-0177
 文政10年(1827)、幕府へ献上された毛利高標旧蔵書の目録です。
 献上された書物の題名・冊数などの書誌情報、蔵書印書き入れなどについても詳しく記載されているのが特徴です。この情報と実際の書物とを比較することにより、毛利高標の献上書が約200年後の現在も散逸することなく現存し、国立公文書館に保存されていることがわかります。江戸時代に筆写されたもので、全1冊です。


p60-2.jpg

周易観玩録 経004-0008
『周易観玩録』は『周易』の解説書です。『周易』とは、『易経』ともいわれ、需要の重要な経典である『五経』(易経・書経・詩経・礼記・春秋)の一つです。著者は張曾慶といい、清時代の学者です。


p60-3.jpg p60-4.jpg

六書正譌 278-0097
 字の形体と用法に主眼をおいて説明を加えた字書です。見出し語の文 字の構成要素について、 「天善」という概念を用いて説明しています。 「六書」とは、「指事(抽象的に意味を示すもの。上やーなど)」、「象形(物の形をかたどったもの。山や川など)」、 「形声 (意味を表す部分と発音を表す部分とからなるもの。河や江など)」、「会意(文字を組み合わせて新しい意味を持たせたもの。信や保など)」、 「転注(同じ部首などで共通の意味をもつもの)」、 「仮借(他の字を借りて代用したもの)」の ことをいいます。著者は、周伯琦(1298-1369)といい、元王朝に仕えた 政治家・文人です。
元時代(1279-1367) に刊行された書物をもとに、明時代 (1368-1644)に版木を補修して再度刊行したもので、全5冊です。


p60-5.jpg p60-6.jpg

陸象山先生集要 314-0019
 南宋時代の儒学者陸九淵(1139-1192)の詩文集です。
 陸九淵は、字は子静、雅号を象山といいます。儒学者として有名で、同時代の朱烹(1130-1200 朱子学を大成した大学者)と学問的な論争を行ったことで知られています。
 展示資料は、明の万暦25 年(1597) の序文がある刊本で、全8冊です。


p60-7.jpg p60-8.jpg

四書笑 309-0089
 「四書」(大学・中庸・論語・孟子)などの権威ある古典の文句をもじって、ユーモアを醸し出した笑話集です。
 展示資料は、江戸時代初期の学者・林羅山(1583-1657)の旧蔵書で、巻末には「羅山子莞尓考之」という書き入れがあります。「莞尓」とは「にっこりする・笑う」の意味で、羅山がこの書物を楽しんで読んだことがわかります。江戸時代の写本、全1冊。


p60-9.jpg
関連記事

コメント

非公開コメント

理科室

FC2ブログへようこそ!